代謝経路の調べ方
代謝経路の調べ方についての勉強しているのですがよくわかりません。
1.radioactive tracer を使った調べ方(pulse chase experiment?)
2.Enzyme inhibitorsを使った調べ方
3.mutantsを使った調べ方
1はなんとなくわかったのですが、2と3がさっぱりわかりません。
多少専門用語が入ってもかまいませんので、どなたか教えていただけませんか?
漠然とした質問ですみませんが、よろしくお願いします。
回答数: 2 お礼: 50枚 質問した人: vajra9000さん 1-1 この質問内容が不快なら
ベストアンサーに選ばれた回答
回答日時: 2007/9/28 02:48:19 編集日時: 2007/9/28 02:50:55 回答番号: 41,068,254
質問文では代謝経路の何を調べるのかが曖昧ですが、
放射性トレーサー、酵素阻害剤、突然変異体、というキーワードから
推測してお答えします。
1.調べたい内容 代謝経路の物質の流れ
まず、代謝経路で最も基本になるのが物質Aが物質Eになるまでの流れです。
A→E ならば話は早いのですが、実際はそうではありません。
A→B→C→D→E のようにいくつもの物質に変化し、最終的に物質Eになります。
この、物質変化の流れが、代謝経路を調べる上での最初の課題になります。
カルビン・ベンソン回路(植物の光合成)を例に説明します。
1.放射性同位体を含む二酸化炭素を植物に与え、光合成をさせます。
2.一定の時間で反応を停止させ、植物から光合成産物を抽出します。
3.抽出された物質をペーパークロマトグラフィーで調べます。
すると、反応を停止させた時間によって、放射性同位体を含む物質が変化します。
最も短い時間で放射性同位体を含むようになるのがリブロース二リン酸です。
(つまり、吸収された二酸化炭素は最初にリブロース二リン酸に固定されます。)
次に放射性同位体を含むようになるのがリングリセリン酸、次がグリセロアルデヒドリン酸・・・
というように、時間の流れと放射性同位体を含む物質を追うことで、
代謝経路の物質の流れを調べることができます。
※リブロース二リン酸→リングリセリン酸→グリセロアルデヒドリン酸→・・・
(オートラジオグラフィーを用いることで、代謝経路の発現場所を調べることも可能です。)
2.調べたい内容 代謝経路にかかわる酵素
A→B→C→D→E という流れがわかると、次に知りたいのが
A→Bにどのような物質が関わっているか、ということです。
物質Aが、自然に物質Bになれば簡単ですが、実際は何らかの物質が
作用することによって、物質Aは物質Bに変化します。
生体内の代謝経路において、この“何らかの物質”はほとんどの場合酵素です。
そのため酵素阻害剤を使うことで、この“何らかの物質”を明らかにすることができます。
例えば、Xという酵素の働きを阻害する阻害剤を
A→B→C→D→E という代謝経路に用いたとして、
その結果Cという物質が大量に生成されたとします。
これは、C→Dという反応が阻害されたためにCが大量に生成されたと考えられます。
(本来なら、酵素XによってDになるはずのCが変化できずに残ってしまうため、
生体内に、物質Cが大量に生成されるように見えます。)
この実験を繰り返すことで、
A→B、B→C、C→D、D→E それぞれに関わる酵素を見つけることができます。
3.調べたい内容 代謝経路に関わる遺伝子、又、その経路の発現時期等
まず、基礎知識として“ある遺伝子を持っている”=”あるタンパク質(酵素)を作ることができる”ということです。
この部分は、自分で勉強してください。
※実験において、最終的に知りたいことが何なのかわからないと
突然変異体を用いる目的がわかりません。
突然変異体を用いて調べられること
・代謝経路に関わる遺伝子の位置
・代謝経路の発現時期
・代謝経路で使われる酵素の他の役割 等々・・・
回答した人: you001tmさん 1-2 この回答内容が不快なら
質問した人からのコメント どちらの回答もとても参考になりました。
よく理解できなくて困っていたので、本当に助かりました。
わかりやすい説明、本当にありがとうございました。
コメント日時: 2007/10/3 09:40:57
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ベストアンサー以外の回答
回答日時: 2007/9/27 00:22:49 回答番号: 41,037,203
薬学博士ではないので、ある程度推測になりますが・・・
2は、「酵素を阻害するもの」という意味ですので、
Aという物質が、何の酵素によって、Bに代謝されるかを調べる場合、
例えば、酵素Eの阻害薬Cを併用してみます。
つまり酵素Eの活性をCによって抑えるわけです。
そこで、A→Bの代謝が阻害されれば、A→Bの代謝には酵素Eが関わっているという証拠となります。
逆に、A→Bの代謝が阻害されなければ、A→Bの代謝には酵素Eが関わりがないということになります。
3は、「突然変異体」です。
まず、酵素Eが産生できない生物を作ります(遺伝子操作などで)。
そして、その生物にAを投与したとき、Bに代謝されれば、酵素Eを持たない生物でもAからBに代謝することができたわけですから、酵素EはA→Bの代謝において関わりがないということになります。
逆にAがBに代謝されなければ、酵素EはA→Bの代謝に関わっている証拠となります。